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20140204 「宝の海」再生、国に頼れぬ 諫早開門期限から1カ月余

「宝の海」再生、国に頼れぬ 諫早開門期限から1カ月余
2014年2月2日23時16分 朝日新聞

【動画】佐賀県太良町沖で干潟再生実験=江崎憲一撮影
http://www.asahi.com/articles/ASG22466FG22TGPB003.html
(写真)佐賀県太良町沖の干潟で、アサリの生育具合をみる平方宣清さん

 国営の諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門期限から1カ月余
り。国、開門派、開門反対派が歩み寄る気配はなく、有明海再生への道筋も見え
ぬままだ。それでも「宝の海」をよみがえらせたいと、それぞれの思いで行動を
起こしている人たちがいる。

 「生き残ってますね」

 1月31日午後、潮が引いて干潟が姿を現した佐賀県太良町沖のアサリ漁場で、
タイラギ漁師、平方宣清さん(61)の声が弾んだ。干潟には、アサリが呼吸す
る無数の穴が広がる。

 諫早湾干拓事業の潮受け堤防からわずか10キロほど。ここで、大 学の研究者
らと干潟の再生実験に取り組んでいる。

 平方さんが1985年から始めた約850平方メートルのアサリ漁場は、多い
ときで年間1500万円の水揚げがあったという。だが、「ギロチン」と呼ばれ
た潮受け堤防が海を閉めきった97年以降、赤潮が頻繁に発生してアサリが死滅。
5~6年前から全く採れなくなった。「干潟は腐った臭いがして、砂地は真っ黒。
一部はヘドロ化していた」

 干潟の再生実験は2011年4月に始まり、1年ほど前からアサリの稚貝が再
び見られるようになった。

 平方さんは福岡高裁が約3年前に開門を命じ、確定した判決で勝訴した原告の
一人だ。だが、国は開門期限を守らず、それどころか長崎地裁が昨年11月に
「開門 するな」との仮処分決定を出して以降、開門問題はさらに泥沼化。漁場回
復への思いは実らぬままだ。

 「もう国には頼れない。今は、この干潟再生に期待しているんです」

 干潟の再生実験は、田中克・京大名誉教授が代表を務める「有明海再生研究会」
が中心となって、企業の環境基金を活用して進める。竹炭と鉄粉を混ぜて成型し
たものを、40メートル四方の干潟に400個据え、アサリの餌となる微細な藻
類が繁殖する環境をつくっている。

 田中さんによると、藻類が増えれば、光合成が進んで水中に酸素を供給。さら
に鉄粉によって、干潟の中のバクテリアが活性化してヘドロを分解、干潟再生に
つながるという。田中さんは森の有機物などが海の生き物を豊かにす る「森と海
のつながりの復権」を提唱している。

 アサリが戻ってきた干潟で今春、平方さんらは子どもたちに干潟を開放し、潮
干狩りを楽しんでもらうつもりだ。

 「干拓だけに縛られとっても、海の再生にはつながらない。次世代の子どもた
ちに有明海の豊かさ、海の大切さを感じ取ってほしい」。桜の咲く頃、アサリの
身は太って甘くなるという。宝の海再生のモデルになれば、と期待している。
(江崎憲一)
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