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「有明海と三陸の水辺から」(2)気仙沼舞根湾調査 田中 克

うみひるも原稿②
「有明海と三陸の水辺から」(2)気仙沼舞根湾調査 田中 克

東日本大震災から3年7カ月が過ぎました。未だに24万人を超える皆さんが狭く過酷な仮設住宅住まいを余儀なくされ、孤独死という悲しいニュースもあとを絶ちません。一方、水辺には、大きな山を切り崩し、ベルトコンベアーで大量の土砂を運んでかさ上げが行われ、その先には巨大なコンクリートの防潮堤を建設して、地震が蘇らせてくれた、陸と海の間のかけがえのないエコトーンを壊滅させる事業が控えています。水辺の生きものたちはこの人間の愚行をどのように見ているのでしょうか。
今では日本の“知恵”として世界が注目しています森は海の恋人運動発祥の地、気仙沼舞根湾では、震災後2カ月を経過した2011年5月から、大震災が沿岸生態系に及ぼした影響と回復の過程を、できるだけ森から海までをつないで総合的・長期的に調べる「気仙沼舞根湾調査」が続けられています。中でも、隔月とはいえすでに21回の潜水を続けている益田玲爾さん(京都大学フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所)の魚や大型底生無脊椎動物の水中観察は、なかなか進まない人間社会の復興とは対照的に素早く回復する海の生きものたちの様子を明らかにし、地域の人々に“再び海と共に生きる力”を呼び起こす上でも、大きな貢献をしました。さらにデータを積み重ねて、いずれ「歴史の証言」とも言える画期的な報告を益田さんがまとめられるものと大いに期待しています。
この3年半の観察の中の象徴的なイベントの一つは、2011年夏過ぎから湾内一円の岸辺にはキヌバリの稚魚があふれたことです(写真1)。おそらく、震災前の生きものと生きものならびにその基盤となる環境と間の定常的な諸関係が、巨大な津波によって解消され、そのいわば“新地”に、いち早く回復した餌生物(カイアシ類)、そして捕食者の激減が重なり、稚魚の生き残りが著しく高まった結果ではないかと思われます。なぜ、キヌバリかについては今のところよくわかりません。
その後、時間の経過とともに、観察される魚類の顔触れは多様化し、特定の種が圧倒的に優占することはなくなりつつあります。3年半を経過して、震災前に岸辺の筏に大量に付いていたメバル(シロメバル)がようやく戻り、この4月に竣工した舞根森里海研究所の前の筏の下には、この夏以来15cmを超える食べごろのメバルが戻り(写真2)、この湾の生態系はようやく落ち着き出したように見受けられます。
しかし、この気仙沼舞根湾の調査では、震災直後に懸念された赤潮の発生は観察されませんでしたが、3年目の春には未だ経験したことのないような密度で赤潮プランクトン(渦鞭毛藻類アレキサンドリューム・タマレンセ)発生し、震災の影響は形を変えて今も続いていることも明らかにされ、今後5年、10年と継続した調査が求められます。

写真1 舞根湾中部の藻場に大量に現れたキヌバリ稚魚(2011年11月、益田玲爾氏撮影)
写真2 舞根湾中部の筏の下に群がるシロメバル(2014年7月;益田玲爾氏撮影)
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