「有明海と三陸の水辺から」(3)柳川の掘割をニホンウナギの里に

うみひるも原稿③
「有明海と三陸の水辺から」(3)柳川の掘割をニホンウナギの里に

有明海に注ぐ九州最大河川、筑後川の河口域に立地する柳川市は、立花藩の城下町であり掘割が縦横に張り巡らされ、船下りで有名な観光の町として知られています。4年前の10月には、有明海をかつての“宝の海”に戻すことを目指した干潟再生の取り組みが始められ、その中で自然発生的にNPO法人SPERA森里海・時代を拓くが誕生しました。柳川の中心に位置するさいふや旅館を拠点にするこのNPOは、有明海と掘割などの水辺環境の再生を目指し、持続可能社会の根幹となる森里海連環の価値観を広める活動が行われています。市民・漁師・研究者・大学生・高校生など多様な立場の皆さんが知恵を出し合い、自らも楽しむ活動を合言葉に取り組みが進められています。
柳川観光のもう一つの目玉はウナギのせいろ蒸しです。日本の味百選にも選ばれるほどの特産品も、今ではニホンウナギが絶滅危惧1B類に指定され、先行きが心配されています。子供たちと身近な水辺をつなぎ直すために、掘割での魚釣りを復活させる取り組みを進め、フナ・オイカワ・モロコ類・タナゴ類・ナマズ類ハゼ類、エビ類など多くの生きものたちが生息が確認され、ウナギの餌環境は十分に整っていると判断されました。
九州で最大の養鰻産地である鹿児島県の河川で、ニホンウナギの資源動向をモニタリングしながら、天然資源の増殖の道に関する試験研究を進めておられる九州大学農学研究府准教授の望岡典隆先生の指導を得て、ウナギの寝床となることが実証されている「石倉カゴ」2基を9月28日に柳川の掘割に設置し、10月12日に第1回目の取り上げが行われました。石倉カゴは、1m四方の底網の上に20cmほどの石を五、六段に積み重ね、足場のしっかりした場所に沈めておくだけです(写真1)。取り上げに際しては石倉を網で囲んでねぐらに住みついた生きものたちが逃げないようにしながら、石をひとつずつ取り上げた後
網の中に入った生きものをすべて取り上げるしかけです。
第1回目の取り上げでは、残念ながらニホンウナギの姿を見ることはできませんでしたが、タナゴ類・モロコ類・ハゼ類とともに多数のエビ類やアメリカザリガニが入りました。今後、地元伝習館高校の生物部が研究対象として、観察・記録を進める予定です。その中にはテナガエビ(写真2)が入り、今では掘割は周辺の川とはつながっていませんが、海と川を行き来する生きものが存在したことは、ニホンウナギのシラスが來遊する2月~4月の大潮時に水門を開けるなどの工夫をすることにより、柳川の掘割がニホンウナギのサンクチュアリーになり、子供たちの水辺の生きものたちへの関心を高め、ウナギの里を巡る船下りとして、町おこしにもつながることが期待されます。石倉カゴには成魚ばかりでなくシラスウナギも入ることが分かっていますので、来春のウナギの出現が楽しみです。

写真1 柳川の掘割の水中に沈めて石倉カゴ
写真2 第1回目の取り上げで採集されたテナガエビ
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